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プレス

DJインタビュー:Terre Thaemlitz
 
- Yuka Noguchi


In Manhattan Records House (Japan), December 1 2009.



1)現在DJで使用している音楽フォーマットはなんですか?

フォーマットの事はあんまり気にしていません。パイオニアのCDJ-1000シリーズが発売されてから、CDRでも結構快適ですから。ヤマハのビンテージ物のターンテーブルを使ってビニールレコードのほとんどは状態よくデジタイズできてますし。誰かさんの様に(私)腰の悪い人には、重たいレコードを持ち歩くのは本当に大変すぎるんです。それに加えて、レアなレコードをクラブのターンテーブルについてる針でかけたくはないのです。 オーディオファイル用のVestaxのデジタルコントローラーに興味はあるけれど、MP3からよりもAIFFフォーマットからミックスしたいと思っています。VestaxでMP3ファイル管理を始めると、その為に無駄に大きなハードディスクやギアなんかが必要になりますから。本当に、ただ一つの大きなCDバインダーをリックサックに放り込むのが私には一番楽です。 音質を出来るだけよい状態で維持しようとしている限り、べつに何かのフォーマットに固執するような事はしなくていいと思います。でもただこれだけは言わなくてはならないのですが、オンラインでWAVEファイル形式の音楽を買おうと思った事があるのですが、全ての音が変に強調され過ぎていてきつく、私が持っているほかのレコードとは一緒にDJするのは無理なのです。私は最近の人が好んで使うような音源のコンプレッションのやり方が好きではありません。

 
2)アンダーグラウンドミュージックビジネスの5年後をどう予測しますか?

もっともっとコンプレッションがはやるでしょうね(笑)

ビニールレコードのレーベルオーナーとして、今はどんどんレコードをプレスできる場所が減ってきています。またその生き残っているプレス工場も、生き残りは自分本位で、プレスの品質によって生き残っているというのでもありません。 そんななので、レコード店は生き残りに十分な在庫を保持できません。ディストリビューター達は製品(もの)からデータへどういう風に移行したらいいのかまだ定かではありません。多分それを解くために現れる解決法はとても企業的で、利益優先で、主流的なものでアンダーグラウンド音楽には全く適さないようなものでしょうね。 しかし、いつも同じように、小さいレーベルもただ生き残りのためにその流れにのるのでしょう。そのような状況下でただ生き残る事だけで十分かどうか私は分かりません。時には、ただなくなってしまうのがもっといいような気がします。まあ、どうなるのかみてみましょう。 私はiTunesやその他の会社に私のアルバムを無断で使用されてしまうという問題がありました。そういったクソ会社は自らは無断コピーや海賊版を訴えるのにです。そこで私はそういったものによらず、ほかの方法で音楽を売ったり配信したりする方法を真剣に考えています。 私の「offline」MP3アルバム、「Dead Stock Archive」は市場から「みえなくなる」為の一つの試みです。この問題についてHeadzの佐々木敦氏にインタビューを受けた時の対談の内容がに掲載中です。

http://www.comatonse.com/reviews/hearhon030309.html

 
3)今年の一曲。

ハウスでは、Fireracker RecordsからリリースされたLinkwoodがとても好きです。ほとんどの曲は私のDJする曲とはあまり合わないのですが、家で聴くのがだいすきです。 また、EUのプロデューサーでAcryl Musicなどのディープハウスレーベルからリリースし始めたTimo Camilloもいいです(http://acrylmusic.ch)。彼は昨年、素晴らしい未発表の沢山の曲を私に送ってくれて、それを私はいつもDJをする時にかけています。とってもメローなディープハウスです。 Stefan GoldmanがリミックスしたSantiago Salazar (Macro, #11)のArcadeがおそらく2009年に私がプレイした曲の中で最もフロアをいっぱいにした曲でしょうね。その中に「あぁ、作ったのが私だったらよかったのに!」と思うような曲です。

もう一つの2009年の偉大な発見、そして最大の悲劇はCelerというWill LongとDani Baquet-Longのデュオです。二人は「Compositions for Cassette」といった素晴らしいミニマルピアノピアノ作品をつくりました。それは録音、マスターそしてリリースまで全てカセットテープのみで行われいます。 私がやっと二人のすごい作品をよく知り始めたその時に、Daniさんが26歳で突然睡眠中に亡くなってしまいました。Willさんは今でも作品のリリースを続けています。本当に二人の作品は素晴らしい、全部。

 
4)最後に今後予定しているインフォメーションを教えてください!

1月にmule musiqから新しいDJ Sprinklesの「Masturjakor」と言うEPがリリースされます。この曲は「ミッドタウン120ブルーズ」と同じ時に作ったのだけど、少しシカゴハウス寄りなテイストがあるから、アルバムには入れ無かった。Kink & The Nevilleのリミックスも入ってます!

後は、次のエレクトロアコースティックのアルバムを作っているところです。(アルバム「愛の爆弾」の様な感じのプロジェクトです) タイトルは「Soulnessless」です。沢山の人がわたしの音楽は「スピリチュアル」と言うけど、わたしは無神論者ですね。スピリチュアリティーとか宗教などは大反対ですけど、音楽の世界はその事を許せないみたいですね。そして、このプロジェクトはスピリチュアリティーと宗教の批判です。2005年からずっと作っていて、とても長いアルバムノ30時間以上ノギネスブックで頑張ります! フォーマットは2ディスク、4.3GB MP3 DATA DVD とビデオDVD。レーベルはまだ決まって無いですけど、出来れば、2010年末ぐらいにリリースしたいと思っています。

 
5)そして日本のミュージックラバーに一言!

もし、ほかのみんなが使うのと同じプラグインエフェクトやソフトウェアを使うと、みんな分かっちゃいます、ばればれです。